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情報大工のひとりごと

変革に対応するには . . . 他

ヘルプやPDFでの取扱情報の提供といった、ユーザーへの情報提供の新たなシステムが作られていくなかで、マニュアル制作者は何をしているのでしょうか?
「このデータPDFでくださいね」「このマニュアルHTML化しておいてくれないかな。ネットで公開するから」という具合に振り回されてばかりで、新技術に対応する暇もない...という話もちらほら聞こえてきます。

そうこうしているうちにDynamicHTML、XML、HTML Helpに始まる、新技術の強襲がまたもや始まりました。Microsoft InternetExplorer4.0を最初に起動したときに表示される、Macromedia Flashとおぼしきアニメーションを多用したインストラクションをご覧になったことがありますか?
驚愕とはこのことです。開いた口がふさがりません(決して提供されている情報のに対して賛辞を送っているわけではありません。念のため)。

現状の制作システムでは、この変革にはどうやっても太刀打ちできるとは思えません。




取扱情報の電子化は進む、されど. . . ____見出し罫線____

「マニュアル=紙の取扱説明書」という時代も完全に終わったような気配を漂わせる今日この頃です。これは何と言っても、HTMLとPDFに代表される、誰にでも平易にオーサリングでき、簡単に流通させることができるフォーマットが急速に普及したことが第一の原因でしょう。
省資源の流れもさることながら、これらのフォーマットの普及があってこそ、電子媒体の取扱情報が爆発的に増加したという現実があるように思えます。ある意味、この流れに先鞭をつけたのは、オーサリングツールを格安で提供したWinHELPにあると言えるのかもしれません。

ところで、マニュアル制作者はこの流れに対応できているのでしょうか?
現状では、かなり対応できていないといわざるを得ないような気がします。そのため、取扱情報の提供はかくあるべきだという信念を持たないけれども、小手先の技術はあるという会社に仕事を奪われる一方ではありませんか? 
このような事態は時代が悪いのではありません。運が悪かったわけでもありません。準備不足が原因です。「忙しすぎて対応する余裕がなかった」というようなマネージャーは更迭すべきです。
大艦巨砲主義ならぬライティング技術至上主義という時代錯誤から抜けられないマニュアル制作者には、未来はありません。




人員不足は理由にならない____見出し罫線____

現在の状況に対応できないマニュアル制作者の多くは、「余裕がなかった」ことを理由に挙げるでしょう。マネージャーの多くは「そんな人員の余裕はない」ということでしょう。
しかし、そのために仕事がなくなってしまっては終わりです。自分のキャリアを終わらせてしまってどうするのですか?

ここで問題となるのは、予備戦力を残さずに、すべての人員を実業務に張り付けてしまうことです。
これは前回のノウハウの話とすこし重なるのですが、マネージャーは構成員に仕事を割り当てる際に、多少の余裕を持った予備戦力を、組織内に必ず残しておくべきなのです。全員を前線に張り付けておくと、一箇所が決壊したときにサポートに回ることのできる人間がいなくなってしまいます。
最新技術の習得や技術動向の把握のためだけでなく、リスクマネジメントの面からいっても、人員の余裕を持った割り当て、ひいては適正規模の仕事の受注といった長期戦略をしっかり立案しておくべきでしょう。

それではやっていけないですって? 生産性を上げるか、給与ないしは勤務システムを変更するかのいずれかをおすすめします。徹底した能力主義を敷くという手段も検討しておいたほうが良いでしょう。
どちらにせよ、いままでのなあなあ経営ではやっていけない時代になってきたことをマネージャーは認識しなければなりません。旧時代のノウハウに加えて、新時代に対応できる技術力も兼ね備えなければ、マニュアル制作者は充分に力を発揮できない時代になったことを自覚しなければならないのです。
マニュアル制作者が充分に力を発揮できないということはすなわち、ユーザーが満足な取扱情報を入手できないことを意味します。それで良いのですか?




ところで加茂(元)監督____見出し罫線____

朝日新聞10/10の記事で、「旬の風景:加茂解任考」という記事がありました。
「失敗の本質」(この本もそのうち紹介したいと考えています)で挙げられていた日本の敗因と関連づけて、サッカー日本代表の加茂監督解任騒ぎを分析したものですが、なかなか的確な論評でした。
もともと「失敗の本質」は日本軍の組織特性の研究を通して、組織論的な敗因分析をする目的で執筆されたものです。日本軍と米軍との比較を通して、日本軍の特性をより顕著な形で示すことにも成功しています。

朝日新聞の記事では、この特性を現在の日本代表に投影させて、以下のように主張しています。ちょっと見てみましょう。

  • 短期決戦指向 : タイムマネジメントの観点が欠如している( ロスタイムに失点する)。
  • 主観的で帰納的な戦略策定の重視: 合理性よりも空気や情緒が優先されるため、監督解任にあたっても合理的な説明はなく、「強気」「流れを変える」といった主観的な感想しか出てこない。
  • 組織学習の軽視: ドーハの悲劇の経験が全く生かされていない。

うーむ、すべて正しいように思えます。でも恐ろしいのは、マニュアル業界にもみんなあてはまりそうなことだという点でしょうか。

具体的にどこがどうだという話はいたしません。胸に手を当てて、みんなでじっと反省してみましょう。
それでは今回はこのへんで。



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