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情報大工のひとりごと

ソフトウェア業界のビジネスモデル



Windows年間使用料制に移行?____見出し罫線____

先週から今週にかけていろいろと大きなニュースが飛び交いましたが、ひとつ注目すべきものがありました。それはMicrosoft社がWindowsの年間使用料を取るシステムを検討中(あくまで検討であってそれ以上ではない)というニュースでした。
ソフトウェア業界はいままで新規リリースとその後の定期的なバージョンアップで収入を得てきましたが、機能がある一定のところまで来ると、バージョンアップしないユーザーが出てきます。
最近話題になったものでは、Adobe Illustratorのバージョン7がありました。操作性は変わる、出力は安定しない、ということでバージョンアップしないユーザーがかなりいたと噂されています。重い、バグが多い(おまけに有償バグフィックス)、企業によっては導入禁止のお達しまで出たと噂されるMicrosoft Office97も同様です。
OSに関しても同じことで、WindowsNT4を使わずに3.51を使い続けるユーザー(安定性を重視)、MacOS8を使わずに7.6.1を使い続けるユーザー(軽さと安定性を重視)もまだまだいます。

売り切りを前提としたビジネスモデルを構築しているハードウェア業界と違い、バージョンアップの収入を前提としたビジネスモデルを構築しているソフトウェア業界にとって、ユーザーがバージョンアップしてくれないということは死活問題です。そのため、何としてもバージョンアップさせるために知恵を絞ります(操作性の改善と機能の追加というところに落ち着くことが多いようです)。OSの機能と統合させて、バージョンアップせざるを得ないようにユーザーを囲い込むという方法を打ち出しているメーカーもあるようですね(怒)。
しかしそれでもバージョンアップをしないユーザーが多くなってきたということは、メーカーの広告よりも、自分のしたいことを基準としてバージョンアップするかしないかを決めるユーザーが増えてきたということなのでしょう(不況のせいもあるかもしれませんが)。
ソフトウェア業界のビジネスモデルの変貌が、ユーザーにどう関ってくるのかについて(とびとびにですが)考えてみたいと思います。 (1998.11.26)




Windows.NET発表____見出し罫線____

「プロダクツからサービスへ」と書いた瞬間に、Windows.NETの発表がありました(ZDNetでのニュース記事はこちら)。ナイスタイミングです(笑)。時代の流れとは言え、Microsoftも思い切った決断をしたものです。
「日本では帯域の関係でまだしばらくは無理なんじゃない?」とか「単にユーザーから毎年がっぽりカネを巻き上げたいだけなんじゃない?」「だいたい本当にあと2年で出るのかね?」「ASP(Application Service Provider)事業分野での先行者に対する、お約束の牽制でしょ」といった疑問、感想もないこともないのですが、間違いなくユーザーの利益になりそうなことが、1つありそうです。

それは、文書タイプをユーザーが意識する必要がかなり少なくなるという可能性です。あちこちのニュースサイトの情報から判断すると、ユーザーが作成するファイルはXMLで記述され、情報の内容によってパッケージのようにまとめられて組み込まれる(または外部ファイルにリンクする?)ようです。例えばイラストを貼り込んだ報告書のようなファイルでは、ファイルの内部構造としては文書部分とイラスト部分が完全に分離されてXMLで記述されるようになるため、それぞれのパーツの再利用性が格段に上がるのではないかと想像できます。

また、現状では作成した文書は特定ソフトウェアのネイティブバイナリ形式で保存されるため、別のソフトウェアで利用するにはいろいろと困難があることは皆様ご存じの通りです。しかし文書全体をXMLで記述することにより、別の会社のソフトウェアでも、XML文書内からそのソフトウェアで利用できる部分のみを開いて、そこだけ編集するといったことも可能になってくるのかもしれません。惜しくも中途で挫折してしまったAppleのOpenDocに見られた志が、Microsoft+XML+ASPという新しい環境で花開くことになるのでしょうか。

この話題はかなり興味深いものですので、今後も機会を見て取り上げていきたいと思います。 (2000.06.26)



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