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情報大工のひとりごと

東芝ビデオ問題で考えたこと



仮処分申請に対する怒りと失望____見出し罫線____

さてマスコミにも取り上げられるようになってきた東芝製ビデオデッキのサポート問題ですが、「Webサイト内の情報の一部削除を求める」という東芝の動きには怒り失望を隠せません。提示された疑問に何も答えずに不都合な情報を圧殺しようというのは、社会的存在としての責任を欠いた、非常に悪質な行動であると言えるのではないでしょうか。

当研究所でもExtensis Portfolioという画像データベースソフトの仕様を巡ってSoftware Tooに抗議したことがありましたが、今回の東芝の申し出が認められるのであるならば、このようなWeb上での問題提起/抗議行動すら削除対象として扱われることになりかねません。
世の中にメーカーが書かせる提灯記事ばかりがあふれかえり、個人ベースによる使用実感やサポートの善し悪しに対する情報の流通が妨げられるのであるならば、ユーザーは何を自らの消費行動の判断基準とすれば良いのでしょう? 自己責任という考え方は、適切な情報が公開されているという前提でこそ成り立つということを忘れてはなりません。

この問題については、インターネット弁護士協議会コメントと、毎日新聞のWebサイト上のこの問題についての記事をぜひご覧いただきたく思います。
ビデオ問題それ自体については、ユーザーの主張メーカーの主張をそれぞれご覧いただいた上で、自分なりの判断をされるのが良いかと思います(問題の音声ファイルも、できるだけ聴いてくださいね)
補足:
問題の音声ファイルは削除されてしまったようです。とはいえ、Web上に存在する各種ミラーサイトにはまだ音声が残っているところもあるかと思いますので、興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。なお、当研究所でもmp3形式とmov(QuickTime)形式の音声ファイルを後学のため保存しております(笑)。




ユーザーを無視した屁理屈____見出し罫線____

月曜日に東芝の仮処分申請を取り上げたのですが、その日のうちに申請取り下げ/謝罪表明をしたようで何よりです(プレスリリース説明ページ)。しかし、文面を見るとおわかりになるように、あれは謝罪ではないですね(遺憾の意の表明というところでしょうか)。「言葉遣いが悪かったことは認めるが、それ以外のサポートの経緯や商品自体には何ら問題がない」というスタンスを取っているようです。
その中で当研究所が一番気になるのは、「お客様ご所有のテープには、規格外の周波数で画像が記録されて」云々というところです。自社製品はS-VHSの規格を厳守しているのであるから、適切に再生できないのは他社製品ないしはテープが悪いという理屈でしょう。
一瞬納得してしまいそうな理屈なのですが、果たしてそうなのでしょうか?

一般の家電製品では、そのような理屈は通用しないと思います。そもそも、VHS規格に厳密に適合しているような録画済テープは少なく(経年劣化などによるものも含む)、再生信号の処理にあたってかなりの許容幅(マージン)を持ったものでないと、VHSのビデオデッキとして商品価値を持たないというのが現実のようです。許容幅が狭い商品は、それがたとえ規格に準拠していたとしても、実際の使用現場で数多くの問題に出くわすことになります。
もしVHS規格に厳密に適合している録画済テープだけをメーカーとして再生保証するということであるならば、その旨カタログや取扱説明書に明記しておく必要があります。しかし上記の問題を考慮に入れるならば、録画/再生に使用するテープ銘柄を指定した上で、自社製品での録画/再生したものに限って画質保証を行うということにならざるを得ないでしょう(レンタルビデオ? そんなもの画質保証なんてできるわけないじゃないですか . . . )。
ところで皆様、そんな商品を購入したいと思いますか?




つくり手側の姿勢の問題____見出し罫線____

このような話は、Web制作関連の話題でも時々見受けられます。
「ウチのWebサイトはHTML4+CSS1に完全準拠した、コード的に非の打ち所のないものだ。意図通りに再現されないだって? そんなものはできの悪いWebブラウザのせいに決まっている! だいたいNetscape NavigatorのCSSはバグだらけで」云々というような話です(このサイトもInternet Explorer 3ではどうしようもなくレイアウトが崩れます、申し訳ありません)。
これも先のビデオの規格と同じ話で、結局、つくり手がユーザーの方を全然向いていないことが一番の問題なのではないでしょうか? つくる側がいくらルールに則ったものだと主張しても、それが実際に利用するユーザーの元で意図通りに機能しないのであるならば、ユーザーにとっての利用価値はないに等しいものです。ユーザーにとって利用価値がないものは、単なる資源の無駄遣いであり、ゴミにしかならないものなのです。
当研究所もお客様に利用していただくためのモノ/サービスを提供する立場にあるものとして、このことには常に気をつけていきたいと考えています。



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