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情報大工のひとりごと

パッとしないマニュアル業界?






転機____見出し罫線____

読者の方から「自分たちのことをこう言うのも何なんですが、マニュアル業界ってパッとしませんよねえ」というコメントをいただきました。まったくおっしゃる通りでございます(苦笑)。
でもこういった現象の一因には、業界にお金が落ちない上に、何かにつけ世間やマスコミに叩かれるというマニュアル業界の特質があるように思えます。このような状況ではモチベーションを維持することも困難になるので、優秀な人の定着率は悪くなる一方でしょう。「コストはかけられない、優秀な人も少ない」では、やっぱり盛り上がらないですよね。

確かに素晴らしいマニュアルによってサポートコストの減少も見込めますが、それはあくまで消極的なコストメリットであって、それ自体が収入を生むわけではありません(支出を減らすだけです)。メーカーにしてみれば「直接の売り上げの増加に結びつかないものに、何で高いコストを投入しなければならないのか?」という意識が強いのではないでしょうか。
また、見た目のスペックに表れない部分にコストをかけた商品を購入するユーザー層があることも事実ですが、「品質の高いマニュアルが付属すること自体に価値を見いだして購入する」ユーザーの絶対数はそれほど多くはないでしょう、というよりもほとんどいないのが現実でしょう。そうすると、マニュアルにかけられるコストが必要最低限度に留まるのもやむを得ない、ということになります(ところで現在のコスト水準が、そもそも必要最小限にすら届いていないのではないか? ということはまた別の話です)。

それではどうすれば良いのでしょうか?
話は簡単で、メーカーが直接の利益を生むフィールドに、手持ちのスキルを投入することを考えればよいのです。「そのフィールドはどこにある?」と聞かれても、「わかる人はすぐわかるでしょうし、わからない人にはいつまで経ってもわからないことでしょう」としか言いようがありません(笑)。
というようなわけで、当研究所もマニュアル制作に関する卓越したスキルはそのままに、業務の重点をマニュアル制作以外のフィールドに移すべくいろいろと準備を進めています(もちろんマニュアル制作業務はいままで同様、継続します)。
ラプラス取説研究所の今後の活動にも、ご注目ください。 (2000.4.03)




迷走するコストダウン____見出し罫線____

最近聞いた話ですが、とある有名メーカーがヘルプの制作料金を1文字いくら(英文は1単語いくら)に切り替えたとのこと。企画構成も修正費用もすべて一切込みで、すべては文字数に比例するということです。もろに発注側のモラルハザードの温床になるような気もしますね(呆)。
で、話を聞くとこれが強烈に安いんですわ。制作に投入する工数を考慮に入れると、はっきり言って学生のバイト代と同じレベルになってしまう仕事もありそうです。こんな仕事が続くようでは、制作会社が自らの会社を維持することができなくなってしまう可能性すら考えられます。

制作会社側の自己防衛策としては、そういった会社の仕事には工数単価が低い(つまりスキルの低い)人間を使うしかなくなるでしょうから、完成物の質もそれなりになりますよね。特にヘルプはスキルの高い人間が必要とされるでしょうに、そのメーカーも一体何を考えているのやら。
こういう会社は一度痛い目を見て、自分たちの日常業務が制作会社に助けられて成立していることを思い知ったほうが良いのかもしれませんね。

今回例に挙げたメーカーに限らず、こういった迷走するコストダウンの話は、最近あちこちで出ているようです。
この辺の動向も踏まえて、研究発表の「コストの話」を現在大幅リライト中です。メーカー(発注者)側から見た効果的なコストダウン、制作会社側からも納得のできる方法/方針のコストダウンとは何かについて、近日中に改訂版を公開する予定です。 (2000.4.10)




マニュアル制作によくある風景____見出し罫線____

「今度の○○○ですが、よろしくお願いしますね。先行しているA社(かなりの有名メーカー)の○○○をパクれば簡単にできると思いますので」
「了解しました」(手早くできそうな仕事、ラッキー!)

しかし、後日そのA社製のマニュアルを見てみると、これがまったく使いものにならない代物であることが判明。ちなみに使えないというのは、仕様が異なるために使えないということではなく、全体的な情報配分など、マニュアルとしての品質が低すぎて使えない、ということです。個々の文章には凝ったものも見受けられますので、いわゆるテクニカルライターが関わった仕事なのでしょう。
さてこういったケースでは、中途半端な参考マニュアルが存在することで発注側の発想が縛られてしまい、完成マニュアルの品質が思ったほど上がらないということがよくあります。発注側が参考マニュアルの品質を見極めていれば良いのですが、なかなかそうは行きません。こういったケースでは、参考マニュアルに縛られずにゼロベースで自由に発想を膨らませるべきなのですが。

ちなみにA社のマニュアルを見る機会は今まで何度かあったのですが、いつもこのレベルのようです。取引のある制作会社が論外なせいなのか、それともA社内のマニュアル品質基準があさっての方向を向いているせいなのかのどちらかは知りませんが、制作意図がまったく理解できないような代物です。こんな代物に制作費を払うのであれば、うちに出してくれたら100倍まともなものを作るのに、と思ってしまいます。
「完成マニュアルの品質を評価して、仕事を外注できる人材はほとんどいないのね」ということを改めて痛感した、連休中の仕事風景でした。なお「A社とはどこの会社か?」は皆様のご想像にお任せします(笑) (2000.05.08)



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