マニュアル制作入門
マニュアル制作に関係する研究発表をまとめました
家電製品をはじめとするマニュアル(取扱説明書・操作説明書)制作には、一定の様式があります。細かい表現ルールなどはメーカーによって異なりますが、マニュアル制作の本質的な部分はそれほど変わりありません。
このコーナーでは、いままで当研究所がマニュアル制作に関して考察したことを、マニュアル制作に必要な流れとともにまとめてみました。ここではいわゆる取扱説明書・操作説明書の制作を対象としていますが、一般的な業務マニュアルに応用できる情報も多いかと思いますので、適宜ご活用ください。
こうしてまとめると、研究発表で取り扱っていない情報が結構あることに改めて気付かされますし、初期の研究発表の内容の薄さなど赤面モノです。
ですが、これらの情報には(それが元々当研究所のノウハウであるにせよ)対価を頂いてお客様へ提出したものも含まれていますので、増補は機会を見ながら少しずつ…とさせて頂きます。
マニュアル制作を始める前に
実際に説明のための文章を起こす前に、以下のような準備が必要です。どんなに文章やデザインに力を入れたところで、この過程をサボるとまともなマニュアルにはなりません。
- 説明対象を把握・理解する:
説明に必要な、説明対象の情報を収集します。おおまかには、製品やサービスの概要、想定市場と市場におけるポジショニング、できること/できないこと(機能と制限事項)、考えられるトラブル、技術仕様といった情報です。
- ターゲットユーザーと閲覧コンテクストを確認する:
説明を必要とするユーザーはどんな人なのか、どんなときに説明情報を必要とするのかを正しく把握します。対象ユーザーによって説明の仕方だけでなく、コミュニケーションの全体設計や情報構成、デザイン方針という制作にあたっての大前提まで変わってきます。
→ターゲットユーザーは誰だ?
- 構成立てを考える:
把握したユーザー像や閲覧コンテクストに基づいて、情報をグルーピングします。操作が中心のマニュアルであれば、ユーザータスクをベースに情報を構造化することが適切でしょう。
→情報を構造化してわかりやすくする
→わかりやすい構成とは?
- 基本的なデザイン設計を検討する:
基本となるデザイン設計(デザインフォーマット作成・イラスト作成ルールの策定)を行います。可読性や視認性に配慮することは当然として、CI/製品自体のデザイン計画やコストとのバランスも意識する必要があります。
→マニュアルのデザインについて考える
→マニュアルのデザインについて考える(続)
マニュアル制作時のポイント
実際に制作するための準備を終えたら、実制作に入ります。
「正しく簡潔に、一意に表現する」などの日本語表現法は各種書籍やネット上の情報(参考)を参照して頂くとして、以下のようなマニュアルならではのポイントに注意しましょう。
- 適切な見出しをつける:
見出しを見ただけで内容を把握できるように、わかりやすい見出しを付けます。一般ユーザーのためにも、特殊用語や独自用語だけの見出しは避けるべきです。
→わかりやすい見出しのつけかた
- 操作手順文を書く:
取扱説明書・操作説明書でもっとも重要な部分です。
機能概要とユーザーメリットなどから構成されるイントロ文と、操作文(ユーザーの行為)と結果文(行為に対するフィードバック)から構成される操作手順が主な内容になります。
→まず情報の整理−操作手順の書きかた(1)
→操作文の原則−操作手順の書きかた(2)
- 注意文を書く:
各種制約や禁止事項を、指示を守らないことによって生じるデメリットとともに記載します。
→ご注意を読んでもらうには
- トラブル対策を明記する:
トラブル時の対策を、症状と原因、対策を明確にして記載します。
- 製造物責任法関係の警告・注意を明記する:
製造物責任法(いわゆるPL法)に基づき、ユーザーの身体や財産に危害が及ぶことのないように、図記号(参考)と共に警告・注意情報を記載します。
- 索引を作る:
目次の要素を五十音順(とアルファベット順)に並び替えるだけは、索引の意味がありません。本文中には存在しないけれどもユーザーが想起しそうなキーワードを用意したり、同じ情報を複数の言葉から探すことができるようにするなどの工夫が必要です。
→正しい索引の作りかた
マニュアル制作環境と評価
マニュアル制作を巡る環境は、この10年で大きく変わりました。Webサイトをはじめとする電子媒体だけでなく、取扱/説明情報の製品UIとの統合も含め、まだしばらくは流動的な状況が続きそうです。
このような変化の中で、マニュアル制作を支える人や組織、環境について正しい判断をするためには、様々な面からの情報収集が必要となります。
- 制作者への要求スキル:
「脱ライター」が必要とされているのですが、状況はなかなか改善されません。
→取説作成者に求められる素質・能力
→これでいいのか、マニュアルライター
- 社内体制:
社内制作体制から外部制作会社への発注という移行が強まっていますが、ハンドリングの巧拙によって完成品の品質には大きな差が出てしまいます。
→メーカー内マニュアル担当者のお仕事
→メーカー内マニュアル担当者のお仕事(2)
- 制作システム:
制作データの再利用性を向上させることによる生産性の向上→コストダウンが求められています。ですが、製品ジャンルの枠を超えた再利用は「言うは易く、行うは難し」です。
→マニュアル制作データベース?
- マニュアル評価のポイント:
完成マニュアルに対して適切な評価が行われないと、品質の着実な向上は見込めません。また、不適切な評価によって、改善のつもりが改悪になってしまうことすらあり得ます。
→マニュアル評価のポイント(前編)
→マニュアル評価のポイント(後編)