手書きシステムに求められる機能

2002年9月 9日

MicrosoftのTablet PCのリリースが近付き、関連記事も増えてきました。

現状のキーボード+マウスがディスプレイに表示されているオブジェクトを間接的に操作するのに対して、タブレットとディスプレイが一体化しているTablet PCでは直接操作が実現できることになります。これは言わば表示デバイスと操作デバイスが紙と鉛筆の関係に近くなることですから、今後の情報デバイスの一般化を考える上で、大きな強みとなるでしょう。

ですが、情報デバイスは紙と鉛筆の関係を実現するだけでは困るのです。

PCのアプリケーションと異なり、入力様式に制約されずに自由に筆記/表現できることが手書きの一番の利点で、特に会議などで問題構造や関係図を速記するときなどは、ボードやメモ用紙の方がノートPCよりも圧倒的に有利です。しかし、取ったメモをすぐに(テキストやベクターデータとして)再利用できないのが泣きどころ。ですから、手書きシステムを採用する情報デバイスには、手書きの軽快で自由な感覚を維持しつつ、取ったメモを必要に応じて編集可能な情報として再利用できることが一番に求められるのではないかと思うのです。

ところが現状では、PDAなどを含めて一般的に「文字入力モード」で書かれたものはテキスト扱い、それ以外の自由入力モードで描かれたものは画像扱いになるケースが多いようで、評価記事を見る限りではTablet PCもこの例に漏れないようです。従って自由でありながら情報の再利用性も確保するという、上記の要求機能は実現できていないことになります。これは認識精度のように実装レベルの問題ではなく、根本的なコンセプトの問題です。

手書きをサポートするシステムで、このような書かれた(描かれた)オブジェクトをシステムがどのように認識/管理するのか?という問題は見過ごされがちなのですが、一般層までに浸透する「使える」手書き入力システムを今後構築しようとするのであるならば、この問題を素通りすることはできません。この問題にきちんと触れている評価記事も出始めているようで、ベンダー各社が今後どのような解決策を用意するのか、楽しみに見守りたいところです。

The 1140px CSS Grid System · Fluid down to mobile