情報大工のひとりごと

情報デザイン業務の周辺で思ったこと、そして考えたこと

説明という行為は最後の手段

2003年9月29日

よくわからない機能や動作がある場合に、「わからないから説明を追加しましょう」ということはよくある話で、特にマニュアル制作では頻繁に目にする光景です。ですが、わかりやすさや使いやすさを実現する上で、「説明を追加することで問題を回避する」ことはあくまで暫定回避策に過ぎず、本質的な解決にはつながっていないことが忘れられがちです。

ユーザビリティに注目が集まるのは嬉しいのですが、どうもこの部分は勘違いされがちで、「説明すればわかりやすくなる、難しい機能も使ってもらえる」と安易に思い込んでいる人が多いようです。しかし実際のところ、紙媒体のマニュアルにせよ画面上に表示される各種情報にせよ、説明なんてちゃんと読んでくれる人の方が少ないんですよ(苦笑) これは説明することが仕事のマニュアル制作をしていると、嫌でも実感する大前提なんですけど。

したがって、説明を追加しなければならないことが判明した場合は、以下の順序で対策を考慮すべきです。

  1. 説明を追加しなければならない原因は何か?
  2. 説明せずに済ますためには、どのような対策が必要か?(そしてその対策は実現可能か?)
  3. 説明せずに済ますことが不可能な場合、説明の量を少なくできる対策はないか?(そしてその対策は実現可能か?)
  4. どうしても対策が取れない場合は、やむなく説明を追加することで問題を回避

つまり、わかりやすさや使いやすさを実現するために基本とすべき考えかたとは、「説明がなくても理解できる・操作できる」仕組みを準備することなのです。さらに付け加えるならば、「ユーザーは説明を読まない」ことを前提とした、製品やシステム、周辺情報の提供枠組みの設計が必要とされるのです。

説明なしで済ませるように物事を設計することは困難な作業ですが、なぜ説明を必要とするのか?を把握できれば、あとは対策の取りようも出てくるものです。たとえ根本的な解決策に至らない場合でも、問題の検討を進めるうちに、説明量を大幅に削減できる回避策を思い付く可能性も十分にありえます。

そうは言っても、まったく新しい概念を伴うようなものについては何らかの概要説明は不可欠であることも事実です。土壇場で根本的な対策を取ることができない場合など、最終回避策として説明を追加することでお茶を濁さざるを得ない場面も存在するでしょう。そのようなこともあって無下に説明不要論を唱えるわけではありませんが、そこに説明が存在しなければならない必然性については、日頃からもっと考えるようにしたいものです。

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