プロトタイピングで変わる制作料金体系?

2001年6月19日

ソフトウェア開発の領域でプロトタイピングが主流になってくるにつれて、マニュアル制作の現場で困った事態が持ち上がっています。制作者が頻繁なアップデートに付き合わされるため、特定案件から手が離せないという問題です。

マニュアル業界ではページ単価とか文字(苦笑)単価といった制作料金体系を採用しているところが多いのですが、これは大きなチェックを2〜3回+最終修正のやり取り、という作業フローを想定しているからこそ成立する体系であるといえます。要するに、制作者を特定案件に張り付かせることなく複数の件を受け持ってもらうことで、制作会社として負荷の均一性の確保と全体の売り上げ増を狙うという方法論です。

ですが、マニュアルなりヘルプなりの制作者が、毎週リリースされるビルドという形でプロトタイピングに付き合わされるのであるならば、このような方法論自体が通用しないことになります。作業工数と売り上げの想定の根底が崩れることになりますので、これは由々しき問題です。プロトタイピングで設計が行われる案件に関しては、イラストや基本デザインといった個別単価見積もりが可能な部分と、制作者を専属させるための人月計算で算出する部分に分けて考えるべきなのかもしれません。しかしこれでは大幅なコストアップになるでしょうから、発注側はなかなかこの条件を飲まないでしょう。

この問題については、実際に制作料金が上がるかどうかよりも、設計プロセスの変化による制作プロセスへの影響に発注側の担当者(特にメーカーのマニュアル担当者)がまったく気付いていないというのが一番の問題でしょう。制作システムが写植からDTPに移行したときにも、前時代的なワークフローや意識を引きずったままの担当者が多く見られました(もちろん今も見かけます)。設計プロセスという部分は制作システムと違ってさらに目に見えにくい部分ですから、担当者レベルでの意識改革には、まだまだ時間がかかるのでしょうね。あ〜、頭痛い。

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