TCシンポジウム2010参加報告

2010年10月 4日

ようやく酷暑も終わり、仕事に集中できる気候になってきたようです。

ということで、TCシンポジウムご来場ありがとうございました。ニッチな発表でしたが、少しでも皆様のお役に立てたようでしたら幸いです。京都開催も目前ですので、「発表02 大学におけるTC教育事例と課題 〜制作現場における教育の観点から〜」の発表資料を公開しておきます(公開用一部修正版、PDF形式417KB)。

なお、同発表における参考URLは以下の通りです。

さて、現在検討が進められている「TC専門教育カリキュラム・ガイドライン」の中間発表を自分の発表後に聴講したのですが、ちょっと(どころではなくかなり)酷いですね。専門教育のカリキュラムを組むのであれば、専門家となるために必要な素養を棚卸しして、それを領域ごとに分類するだけでなく、前提知識まで含めた知識/スキルの構造を分析する必要があります。ところが現状では棚卸し(しかも現状認識が不適切)と領域ごとの分類(しかも分類基準が不可解)に留まっており肝心の構造分析がなされていないため、単なるスキルマップ(それも自己満足)になっているのが現状です。

教育範囲が狭義のマニュアル制作しかカバーしておらず、テクニカルコミュニケーションの専門教育としてはまったく不足していることも大問題です。認知科学や心理学、教育学、ICT全般の基礎知識(コンピュータやネットワークの動作原理、論理演算、各種信号/データの符号化方式などなど、「テクニカル」を理解するために必要最低限の基礎知識)、ユーザーエクスペリエンス(UI設計含む)、マーケティングといった周辺領域は、相変わらず軽視/無視されています。それにカリキュラムというのであれば、必修/選択の区別やどの科目から学ばせるのかまで検討する必要があるはずですが、これらの点に触れられていないというのも首をかしげざるを得ません。

また、途中でパブリックコメント(全然パブリックじゃない)を受け付けるならば中間成果物や検討過程を全体公開して受付期間も1ヶ月程度は取るべきで、その点でもちょっとお話にならないですね(ちなみに行政手続法の場合は、30日以上が必須条件とのこと)。検討メンバーの方々は限られた時間内で十分努力をされているのだとは思いますが、方向性がこれだけズレているとちょっとフォローのしようがないです(というか、誰か途中で気付いて)。

ちなみにTC協会で進めている各種プロジェクト、周辺領域から新規概念(らしきもの)を取り入れるのは良いのですが、取り込む際に変なバイアスがかかってしまうのか、どこか歪んだ取り込み方をしていませんか? 例えばTC協会で使われている「情報アーキテクチャ」や「コンテクスト」、用法がちょっとおかしい気がします(一般的な用法と異なる)。今ならまだ間に合うから、中の人(誰)は早めに確認・修正するべきだと思いますよ。

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