音質調整はメニューから? ご冗談を!

2001年10月 9日

研究所長には突発性難聴から聴力が元に戻らない家族がいるため、音響設備(というかラジカセ)選びも大変です。 え?二年半前からまだ探しているのかって? 良く覚えていらっしゃいますね、その通りでございます(苦笑)。

さて、聴覚に問題があると、それこそ曲ごとに頻繁に音質調整をしたいというニーズがあるようです(曲によって聞こえたり聞こえなかったりの差が激しいようです)。そうすると、いかに音質調整機能にスムーズにアクセスできるかが重要になりますから、低音域と高音域を独立して、直接に調整できる仕組みを持つ商品を選ぶ必要があります。ところが、最近のラジカセには高音域と低音域の独立した音質調整つまみを持つものは存在しないのです。いわゆるマイクロコンポのクラスまで目を向ければ独立したつまみを持つものも存在するのですが、価格帯としてラジカセの代替感覚というわけにはいきません。それにマイクロコンポといえども、普及価格帯の商品は低音増強機能だけのものの方が多いのです。

そんなこんなで音質調整機能の有無と操作性を確認するために秋葉原中を駆けめぐったのですが、音質調整をメニュー操作で行う商品があることには驚きました。メーカーの設計者の発想としては、設置スペースを固定しているので音質調整機能には頻繁にアクセスされることがないという前提なのかもしれませんが、聴覚に問題があるユーザーにとっては前提条件がまったく異なるため、お話になりません。また、音質調整がデジタル化されているために、あとどれくらい調整範囲に余裕があるのかをすぐに確認できないものもあり(これは音量も同様ですね)、かなり厳しい商品選択を余儀なくされました。

確かに、現在の商品の方がコストダウン的には都合が良いのでしょう。しかし、実装がユーザーの利益につながらないのであれば、機能の存在自体に疑問符がつきます。要するに、ユーザーが使用する現場で役に立たない機能であるならば、その分を削ってコストを下げた方がマシということです。このような問題は、そもそも「その機能がなぜその商品に必要なのか? どんなときに使われるのか?」ということを意識せずに設計プロセスが流れてしまうことに原因があるのではないかと思われます。これはハードウェア商品設計だけでなく、ソフトウェアやWebサイトの設計にも共通する問題ですが、こうしたことをどれだけ意識して設計作業が行われているか、現状の設計プロセスを問い直してみる必要があるのではないでしょうか。

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