既存の大手マスコミの信頼性に対する疑問は今に始まったことではないですが、個人ベースのメディア、特にネットワークを利用したメディアに注目が集まっています。最近のblogの流行も、一役買っている感がありますね。

さて、asahi.comの記事「広がる草の根ネット新聞 市民が記者、生活者の視点で」によると、このような動きが具体的な取り組みとして結実している例もあるようです。また、blog::TIAOの記事「草の根 海外情報ブログジャーナルサイト構想」(および「民草のメディアと在外日本人ネットワーク」カテゴリの記事)のように、海外での報道を翻訳して日本に伝える仕組みを構築しようとする動きもあります。

このような動きは非常に嬉しく勇気づけられる反面で、気になる点もあります。独自取材や情報検証の困難については以前に触れたことがありますが、それよりも厄介な問題です。それはメディアとして存続していく上で、訴訟リスクとどのように付き合っていくのか?という点です。

大手マスコミであれば、訴訟を喰らったところで法務部などでまとめて対応することになるでしょうから、現場が対応で忙殺されることはおそらくないしょう。これはまさに大企業の強みと言えます。逆に中小零細企業や個人ベースのメディアでは、訴訟を喰らった時点でかなりの負荷が現場にかかることになります。訴訟費用はともかく(それでも大変なことには変わりないでしょうが)、訴訟に時間が取られることで活動自体が制約されてしまうことも考えられます。複数の訴訟を抱えたらアウトかもしれません。

したがって、このような訴訟リスクのことまで考えておかないと、新しい地盤からのメディアなるものは、あっという間に消え去ってしまう可能性すらあるでしょう。特に独自取材や独自分析(これこそ価値のある情報)を売りにするのであれば、なおさら訴訟リスクに対する備えが必要です。

ネットワークというインフラを活かした新しい形のメディアが立ち上がることに声援を送りつつも、後に続くであろう者たちの道を狭めることのないよう、細心の注意を払って運営されることを望まずにはいられません。

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