情報大工のひとりごと

情報デザイン業務の周辺で思ったこと、そして考えたこと

ネットワークメディアと訴訟リスク

2003年10月14日

既存の大手マスコミの信頼性に対する疑問は今に始まったことではないですが、個人ベースのメディア、特にネットワークを利用したメディアに注目が集まっています。最近のblogの流行も、一役買っている感がありますね。

さて、asahi.comの記事「広がる草の根ネット新聞 市民が記者、生活者の視点で」によると、このような動きが具体的な取り組みとして結実している例もあるようです。また、blog::TIAOの記事「草の根 海外情報ブログジャーナルサイト構想」(および「民草のメディアと在外日本人ネットワーク」カテゴリの記事)のように、海外での報道を翻訳して日本に伝える仕組みを構築しようとする動きもあります。

このような動きは非常に嬉しく勇気づけられる反面で、気になる点もあります。独自取材や情報検証の困難については以前に触れたことがありますが、それよりも厄介な問題です。それはメディアとして存続していく上で、訴訟リスクとどのように付き合っていくのか?という点です。

大手マスコミであれば、訴訟を喰らったところで法務部などでまとめて対応することになるでしょうから、現場が対応で忙殺されることはおそらくないしょう。これはまさに大企業の強みと言えます。逆に中小零細企業や個人ベースのメディアでは、訴訟を喰らった時点でかなりの負荷が現場にかかることになります。訴訟費用はともかく(それでも大変なことには変わりないでしょうが)、訴訟に時間が取られることで活動自体が制約されてしまうことも考えられます。複数の訴訟を抱えたらアウトかもしれません。

したがって、このような訴訟リスクのことまで考えておかないと、新しい地盤からのメディアなるものは、あっという間に消え去ってしまう可能性すらあるでしょう。特に独自取材や独自分析(これこそ価値のある情報)を売りにするのであれば、なおさら訴訟リスクに対する備えが必要です。

ネットワークというインフラを活かした新しい形のメディアが立ち上がることに声援を送りつつも、後に続くであろう者たちの道を狭めることのないよう、細心の注意を払って運営されることを望まずにはいられません。

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一人民草ジャーナルをweblogでやってみて・・・(3)(blog::TIAO)
今回の試みのまとめを現時点で書いていると、どうしても悲観的なことが先に出るのだが、失敗だったのかというとそうは思っていない。 非常に大きな手ごたえを感じることが出来たし...(2003年10月22日 17:56)

皆様からのコメント

たかやまさん、はじめまして。
blog::TIAOを事例としてご紹介、トラックバックをいただきありがとうございます。

ご指摘のリスクについては考えていませんでしたので大変参考になりました。関連する記事も読みました。個人からの情報発信、それも個人ジャーナルということの難しさはご指摘の通りでしょう。

素人は報道には口を挟むな、それには特別な能力が必要で、専門家のみができる仕事だ・・・ということに対してはそれでちゃんとメディアが社会的な責任を自覚して、十分に仕事をしているのならば、その通りでしょう。しかし、そうは見えないし、感じられない。そのことが問題なわけです。市民社会の言論を一部の専門職へ預けることの危険性や、そもそもそれが無理なことを考えるべきではないでしょうか。

多くの市民からの監視の目があってこそ、為政者は襟を正して職務に励む。監視の眼が甘ければ、すぐにサボるか、私利に走るのが人間の弱さですからね。

まだ具体的には方法論が見えているわけではないのですが、それは理念的な議論ではなく、実践としての行動の中から生まれるものだと思っています。

そういう意味で、先ずは隗より始めよ、というわけです。

ちょうどいいタイミングで中国の有人宇宙船というニュースがありますので、これを題材にまずは自分ひとりから始めてみたところです。これがどんな展開をするか、しないか、ということでまた考えるきっかけができるでしょう。

それと今感じているのは、今回具体的なかたちで、技術力でも中国に先を越されたということ。これが明治以降、ずっと近代化に遅れたアジアの老国という中国へ対しての日本人の優越感にどういった影響を与えるか。

それに関心があります。そでにネットの掲示板ではいろいろな発言があり、それを見ているだけでも日本人の悔しさや、認めたくないという複雑な心情が垣間見える。

もし自分が学生であれば、研究したいテーマですね。

今後ともこのテーマを実践してゆくつもりですので、意見交換や相談の相手として、よろしくお願いいたします。

Posted by: MAO : 2003年10月14日 12:37

「噂の真相」もそろそろ廃刊ですよね。社会的な役割は終了した云々、というような代表のコメントを見たことがあるのですが、これも訴訟リスクが遠因でしょうか?

かなり多数の訴訟を抱えていたはずです。またそれ自体が宣伝になっていたりして。

しかし、廃刊しなくてはならないほど部数は落ちていなかったとも聞きます。選挙もあり、その筋からの圧力があったんでしょうか?

まあ、杞憂であることを願っていますが。

Posted by: MAO : 2003年10月14日 15:16

MAOさん、コメントありがとうございました。
少しでも何かのヒントになったのであれば嬉しいです。
メディアの現状に関しては同感で、特に付け加えることはありません(笑)MAOさんの今後の活動にも期待しております。
ということで、今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: たかやま : 2003年10月14日 21:55

個人情報保護法に抵触、というリスクもありますね。


Posted by: はなゆー : 2003年10月15日 13:46

噂の真相、廃刊ではなくて、休刊らしいよ。
細かいこと言ってごめんな。

Posted by: 噂真fan : 2003年11月26日 22:21

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