Longhornを眺めつつ、将来を想像してみる

2003年10月31日

先日のMicrosoft PDC 2003でLonghornが公開(PC Watch記事)された訳ですが、データベースをファイルシステムに組み込んだWinFSが当研究所的には気になるところです。MacOSXでもWinFS的なシステムを実装するのでは?というも以前からくすぶっていましたし、大量の情報を今後どのように扱っていくのかを考える上でも、自然な流れと言えるでしょう。

さて、このようなシステムではファイルの様々な属性を基準にして、情報の表示を動的に組み替えて利用・表示することができるようになります(まさにデータベースそのものです)。ディレクトリに依存せずに検索をスムーズに行うことが可能になるので、大量の情報から必要なものを検索する際の使い勝手が向上することが期待できます(類似したファイルが多い場合や、極端にファイル数の多い場合などは、別の問題が出てきてしまいますが...)。ただ、実際に「使える」ものになるのかどうかは、どのような属性を標準でサポートするのか、ユーザーが属性を独自に拡張できるのか、拡張時の操作性はどうか、などといった点が鍵になってくるでしょう。この辺は「メタデータをどこまで、どのように保持するのか?」と同様の問題ですね。

そうは言っても、属性を拡張するという作業は、一般ユーザーにとってかなり面倒な作業になります。自分に合わせた属性の拡張という作業は、地味な割に手間ばかりかかる(笑)、情報設計作業そのものだからです(まあ程度にもよりますけど)。したがって、システム側がユーザーや文書形式に合わせた属性を自動的に付加する仕組みを用意するなどして、使い勝手を向上させつつユーザーの負荷を下げることが重要になるでしょう。特に知識労働(ナレッジワーク)で大量の情報を活用する場面を前提とするのであれば、必要十分な情報を必要なタイミングで入手できるようにするためにも、この辺の出来具合が非常に重要になってきます。

しかし、Microsoftはこの辺の仕組みはWindows本体ではなく、Officeに任せそうな気がしてなりません。つまり、WinFSはOffice文書を中心とするワークフローを支援するプラットフォームという位置づけで、ナレッジワーカーの生産性向上はOffice文書側で行う属性拡張を最大限に利用するという方策をとるのでは?ということです。まあこの辺は完全に邪推ですので、Longhornを前提としたOfficeが登場したときに、どの程度ナレッジワークのワークフローが変わってくるのかに期待しましょう(ちなみにMicrosoftによるナレッジソリューションのサイトはこちら)。

といいつつも、3年後(Longhornのリリース予定は2006年)というのはかなり先の話です。果たしてその頃まで、いわゆるデスクトップ・コンピューティングが今の形そのままで残っているのでしょうか? 少なくともナレッジワークに限定するならば、デスクトップ・コンピューティングの必然性はかなり下がるのではないでしょうか。これは大企業に属する会社員だけでなく、ほとんどのナレッジワーカーにも同じことが起こってきそうな気がします。どんなきっかけでそのような移行が進むのか?移行を実現するために必要な条件は何か?ということは、まだ漠然としか見えていませんけれども。

おそらく言えることは、WebサービスやWebアプリケーションの普及が、この変革のきっかけになるのでは?ということです。ここ最近の流れを見ていると、Longhornで実現しようとしていた世界が、Longhornのリリース前に実現してしまう領域もかなり出てきそうに思えます(その流れに対応するための.NET、そしてIndigo@Longhornなのでしょうけれども)。Webアプリケーションのコンソーシアム設立という興味深い発表(INTERNET Watch記事)もありましたし、今後もWebアプリケーション界隈の動きを注意深く見守っていきたいと考えています。

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