情報大工のひとりごと

情報デザイン業務の周辺で思ったこと、そして考えたこと

Webページの文章を読みやすくするために

2004年3月 1日

エディトリアル・デザインはウェブ・デザインの夢をみるか」(wellinton's blog)に基本的に同感(行長&字数制御の必要性は特に!)で、読みにくいWebページはまだかなり多いと思います。人文系の長文だけでなく、技術系の翻訳モノにも読みにくいWebページが多い印象がありますね。InDesignの師匠(笑)に組んで頂いたフォーマットで紙媒体データを制作する仕事が最近続いているのですが、しっかりした版面設計を見慣れたあとにWebサイトを見ると、正直いろいろと辛いものがあります。

ユニバーサルデザイン志向という理念だけでなく、閲覧環境(Webブラウザ&表示デバイス)の多様性に対応しきれないという現実からも、この問題に対する決定的な解決策は見つかっていません。ですが、それを言い訳にして、読みやすさの実現を最初から放棄しているような印象も受けます。ある程度の決め打ちを含めて、一般的(これが困難...)な環境での読みやすさは、もっと追求されてしかるべきだと思います(アクセシビリティに関しては、プレゼンテーションとデータの分離によって保持すべきというのが持論です)。

読みやすさを改善するためには、「CSSにおける国際的レイアウト」のように、読みやすいデザインを実現するための仕様/技術を拡張することがまだまだ必要だと思います。またそれだけでなく、いわゆるエディトリアルデザインを専門にするデザイナーが、Webの世界にもっと出てくるべきでしょう。もちろん紙媒体からの転身であるか、電子媒体育ちであるかは問わず、です。

その一方で、デザインだけで読みやすさを改善するのはやはり限界があります。その意味で、読みやすいWebページを実現するためには、テキスト側にも電子媒体にあわせた工夫が必要となります。紙媒体でのライティング習慣を電子媒体にそのまま持ち込んでも、読みやすさにはつながらないのです。「簡潔に!(ウェブの文章作法)」(Alertbox)のようなWebページ用ライティングの必要性は以前から訴えられていますが、具体例を元にしたWebページ用のライティングガイドラインがそろそろ必要なのかもしれません。

ちなみにこのサイトでは、以下のポイントを意識するようにしています。このくらいがテンポ的にも良さそうという判断なんですが、いかがでしょう?

つまり、「段落の持つ意味合いを紙媒体と電子媒体で分ける」ことこそ、Webページ上で読みやすいテキストを実現するための最重要ポイントではないか?ということです。段落の役割として(厳密な)意味のまとまりを伝えるよりも、読むためのまとまりやテンポを与える機能を重視することで、Webページの読みやすさは大きく改善されるのではないでしょうか。

関連記事(TrackBack)

この記事に言及する(Trackback URL)
http://www.laplace-lab.org/cms_mt/mt-tb.cgi/12

CSS3 module: Multi-column layout(趣味のWebデザイン)
紙の組版に慣れた方がよく口にされる「1行字数を制限したい」という希望は、既に CSS2 において max-width プロパティとして取り入れられています。(2004年3月 1日 11:39)
読みやすいWeb(kyonblog)
エディトリアルデザインができるデザイナーは本当に少ない。 WEBでのフォントは制約があるので、いかに読みやすくするのかは結構至難な業だと思うけれど。 クライアントから最近よく...(2004年3月12日 18:26)
読みやすさ(YEAH)
読みやすさ 大きな読みやすいフォントで表示するには Alertbox: フォントサイズはユーザにまかせよう(2002年8月19日) 色の組み合わせチェック - 読みやすい前景色と背景色 Google 検索: 読...(2004年3月28日 06:34)

皆様からのコメント

wellintonさんの問題意識には全面的に賛成なんですが、Webページで段組やるののはちょっと…と思います。さすがに操作に手がかかって、読むことに集中できないのではないかと。

ちなみにこのサイトは決め打ち系ですが(苦笑)、意識しているのは35文字前後/行です。それから皆様すでにご存知だとは思いますが、関連情報として参考サイトのご紹介を。
「日本語の文字と組版を考える会」
http://www.pot.co.jp/moji/

Posted by: たかやま : 2004年3月 1日 00:35

はじめまして。興味深く拝見させていただきました。段組はやっぱり問題ありなんですね。本当、浅知恵っぷりお恥ずかしいかぎりです…。
となると、やはり「横幅固定・可変」論争に収束していきそうだなあ、と思うんですよね…。これにはあまり首を突っ込みたくない(笑)。
では、デザイン方面からではなく文章作成方面から、というのはなるほどと。ふつうの方が決め打ちでは書けないでしょうけど(笑)、この記事で提唱されていることはけっこう実践できますよね。テンポはぼくもけっこう気にしますので。

Posted by: Wellinton : 2004年3月 1日 01:15

たかやまさま、いつも興味深く拝見しております。

私がメルマガの原稿を書いてきて読みやすいなと思ったのは、
・1行は35文字(メルマガ標準?)
・3行で1行空け
・4から5カラムで見出しを入れる
というものです。

印刷物とWebではテキストを分けるという意見には全面的に賛成ですが、現実には、Webの制作では、印刷物の流用がまだまだ多く、その原稿を手直しするための作者の許可(著作権)、作業に費やす時間の確保(スピード)、そして「コスト」のハードルをクリアする必要がありそうです。

Posted by: イシハラ : 2004年3月 1日 11:01

コメントありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

■Wellintonさん
いつもサイト拝見していていつかご挨拶を〜と思っていたのですが、いきなりTrackBackで申し訳ありません。
個人的には、段組もやり方によってはアリだと思うんです。でもよほどやり方を考えないと、すぐに上下スクロールするはめになるので、その辺が難しいのではないかと。ページ(紙)と巻物(Web)の違いもありますし。
あと首を突っ込みたくないのは私も同じくです(笑)
ただ、「電子媒体ではユーザーが自分で読みやすさを調整するから」というのは個人的に納得いってないんですよ。自分の読みやすさと標準提供デザインとの乖離は紙媒体でもあったはずで、それでもその中で読みやすさとデザイン品質の両立を追求してきたのが、(外野から見た)エディトリアルデザインだと思うんです。そしてその中で一定のルールも生まれてきた。文字を読むという点ではWebも同じなのに、それを活かさない(活かせない)というのは何だかなあと。
Wellintonさんの本意もこの辺にあると思うんですけど、深入りするとアレですんで、この辺で。

■イシハラさん
はじめまして。デジクリのコラム、いつも楽しみにしています。
メルマガでの読みやすさの参考情報、どうもありがとうございました。
個人的には行長はもう少し短めで、行数多めの方が良いと感じます。行間がある程度取れないと、35字だとちょっと辛いような気も…。メールクライアントの初期設定(変えられるという話ではなく、あくまで初期設定)がもっと読みやすくなっていればいいのに、とか思います。これはWebブラウザも同じですけど、欧文前提の行間しか確保されてないものが多いですし。

テキストデータの使い回しの話は、おっしゃる通りだと思います。でも今後は何となくWeb先行になりそうな気も。「雑誌掲載原稿をそのまま公開〜」みたいな例を除いては、本格的な紙媒体用のテキスト流用はあまりなさそうに思えるのですが…。

Posted by: たかやま : 2004年3月 1日 15:39

>よほどやり方を考えないと

昨日いろいろ考えてたのですけど、うまいこと考えつきませんでした…。しまいにはDOMとスクリプト制御でリアルタイムに書き換えるとかとんでもないこと考えてたり…(笑)。

>Wellintonさんの本意もこの辺にあると思うんですけど

すべてお見通しのようで恐れ入ります(笑)。お察しのとおりです。ユーザの自発性云々は確かに深入りしない方がよいのでしょうから、ぼくも書きませんでした。

この手の話は時々しか書くつもりはないのですが、今後ともいろいろとツッコミよろしくお願いします。

Posted by: Wellinton : 2004年3月 1日 21:01

> すべてお見通しのようで

いやそれはもう、文面からにじみ出ているものが…(笑)
Wellintonさんをはじめ、紙媒体のエディトリアルをやっている方々には、もっと声を上げて欲しいなあといつも思ってます(他人任せで申し訳ありません)。Webの話になるとどうしてもWeb専門の方の声ばかりが大きくなりがちなんで、これまでの財産を継承するという意味でも、ぜひ。

#CSSの動的制御って、私も前に考えたことがあります…。
 一回やってみたい気もしないでもなしです。

というわけで、今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: たかやま@徹夜明け : 2004年3月 2日 09:04

ウェブの文章は長時間読んでいると、目が疲れますよね。
紙媒体と比べるとウェブにおける眼精疲労というのは
真にきっついものだという気がします。
文字の大きさ、文章のリズム、1ページの情報量などの
問題はこれからドンドン論じられるようになるでしょう。

簡潔な記号で済んでしまう欧米諸国の言語とは違い、
われわれの国の言葉は複雑な構造をしています。
さらには、横書きの長文がどこまで読みやすいものなのか、
はなはだ疑問です。
販売されている書籍にしても横書きのモノは、
実用書、教科書、ガイドブックなど必然的に図面や資料を
多用する視覚的にも分かりやすいモノばかりです。

ウェブの読みやすさという、この問題が難しいのは、
OSの種類、ディスプレイの解像度、国語的な問題、
視力の良し悪しなどの個人差、という様々なアプローチからの
問題提起がなされているからでしょう。
参考までに私の書いた2流記事を読んでもらえれば幸いです。
http://ajihead.serio.jp/links/font.doc/fontfontfont.html

Posted by: トゥモロー : 2004年5月17日 16:10

この記事についてのコメントをお寄せください










名前、アドレスを登録しますか?






トップ | 新着情報 | 研究発表 | ひとりごと | 業務案内 | ご意見箱 | リンク集
このサイトについて | ご意見・ご感想はinfo@laplace-lab.orgまでお寄せください
©1996-2006 ラプラス取説研究所
ラプラス取説研究所のトップページに移動
#
新着情報のページに移動
#
研究発表の一覧ページに移動
#
情報大工のひとりごとに移動
#
ラプラス取説研究所の業務紹介ページに移動
#
ご意見箱に移動
#
リンク集に移動

新着記事(最新5件)

記事のジャンル

過去記事

アンテナ・ブックマーク

RSSフィード RSSフィード
Powered by MovableType 3.2