情報大工のひとりごと

情報デザイン業務の周辺で思ったこと、そして考えたこと

規格に対する信頼が失われるとき

2002年01月07日

昨年末に報道されて一部で大騒ぎとなっているのが、不正コピー防止を目的とした音楽CDに対するプロテクトの実施がレコード会社で予定されているというニュースです。

どうも音楽CDに物理的に?何らかの対処を行うことで、パソコンのドライブにマウントできないような方法を採用するということなのですが、実はそれだけでは済まない重大な問題が隠されています。つまり、パソコンのドライブにマウントできなくなるだけならともかくとして、既存のCDプレーヤーでも再生できなくなるような場合が想定されるようです。おまけに、レコード会社側が音楽CD販売時にプロテクトの有無を明記するかどうか、そして再生不可の場合に返品できるかどうかも曖昧のようです。従って、購入した音楽CDが自分のCDプレーヤーで再生できずに、かつ返品も認められないという事態も想定されます。プロテクトの有無と自分のCDプレーヤーの再生互換性を事前に確認できない以上、新しい音楽CDを購入することは博打と同じことになります。

もちろんこのようなプロテクトを採用せざるを得ないレコード業界側の事情も分かります。著作権に対する配慮が重要であることももちろんです。ネットを介したデジタルデータの流通だけでの問題でなく、中古販売や再販制度と絡めた包括的な対策が必要とされることは言うまでもありません(まあそろそろビジネス手法からして、抜本的な再検討が必要なのでしょうけれども)。

ですが、この問題の本質は、安定した規格としてユーザーの信頼を得ているものですら業界の都合で勝手に変更してしまい、お客様としてのユーザーの利益を保護しようという考えが微塵もない、作り手側の体質にあるのではないでしょうか。記録型DVDの各種規格やテープメディアのデジタルビデオ規格の濫造に顕著ですが、規格と(記録・再生)メディアに対するメーカーの意識の低さは最近目に余ります。ユーザーが安心して製品を購入できないという状況を自ら招いておいて、消費不況を叫ばれても困るのです(メーカー主導ではないとは言え、地上波デジタル放送を巡る不鮮明な動きも同じことでしょう)。規格商売でユーザーの信頼を失うことがあれば、メーカーの存在意義はどこにあるというのでしょうか。

どうしてもこの方法でプロテクトを進めるということであれば、レコード会社がパッケージにプロテクトの有無を明記することと、CDプレーヤーの製造メーカーが既存機種との互換性情報を公開する程度の対策は必須になるでしょう。レコード業界とCDプレーヤーの製造メーカーの対応を見守りたいところです。

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