情報デザイン業務の周辺で思ったこと、そして考えたこと
縁側*ccで何度か取り上げられている(その1、その2 他)「ファセット分類(Facet Classification)」なんですが、いまいち本質が掴めずに、いろいろと考えあぐねていました。
Googleで検索してみても、情報アーキテクチャ的な意味以外での使用法もあるようですし、「Web情報アーキテクチャ」中の説明もピンと来ません。ただ、図書館情報学に携わっている方がファセット分類の効用を主張されている節もあるようで、この辺にヒントがあると考えること幾星霜(嘘)、ファセット分類の本質は非MECE(mutually exclusive, collectively exhaustive、 互いに重ならず、すべてを網羅する )にあることに、やっと思い至りました。
一般的には、「ファセット分類はディレクトリ型分類とは違って、属性中心の分類である」と表現されがちですが、カテゴリを中心にディレクトリ型のツリー構造を構築することもできますので、これでは適切な規定とはいえません。「Web情報アーキテクチャ」の記述にも、この混乱が見られるようです。正しく規定するのであれば、ファセット分類とは「1つの情報実体はツリー構造のうちの1つの位置だけを占めることができる」(MECEの考えかたそのもの)のではなく、「実体に付随する様々な属性を中心として情報構造を規定しているため、同じ情報実体が全体構造中に何度も出現できる」情報構造であると規定することが適当でしょう(pha::diary 2003年2月23日分も参考になります)。
ここでiPodを例にして考えてみましょう。iPodは据置型プレーヤーに対する携帯型プレーヤーと分類できますが、CDプレーヤーに対するMP3(AAC他)プレーヤー、再生専用機に対する録再機と分類することもできる訳で、これを無理に1つの分類だけに押し込んでしまうと、ユーザーの閲覧コンテクストによっては検索性に問題が出る可能性が高くなります。したがって、無理にディレクトリ型分類にこだわるのではなく、重複にとらわれずにユーザーの考える属性中心に情報を構成する必要が出てきます(この辺の問題については、「分類タグとは」の解説もわかりやすいと思います)。実際には重複情報を管理することは困難になるので、データベースを導入して情報を管理するケースの方が多いとは思いますけど。
さて、ここまで考えてきたところで、妙な符合に気付きました。
以前「MECE的マニュアルの限界」という記事を起こしたように、マニュアル制作の分野ではMECEの弊害が目立つようになっています。(今更ではありますが)ファセット分類が話題になるということは、情報アーキテクチャの分野でもMECEの弊害が強く意識されるようになってきたことに他なりません。
実際のWebサイトでは、データベースを利用した動的なコンテンツ管理やショートカット、関連情報という形でMECEの弊害への対策を行っているケースが多いように見受けられますが、まだまだ付け焼き刃な感がぬぐえません。したがって、情報設計の脱MECE化を当然の前提とした上で、どれだけユーザーの注目する属性中心の設計・表現ができるかどうかが、今後の情報設計・表現の鍵となってくるのではないでしょうか。
課題としては随分以前からあがっているけれども、明確に意識され始めたのはここ1〜2年だろうし〜、ということでエントリしてみました。なので、「いまさらかよ」というツッコミは自粛希望(笑)
属性中心の設計にすると、視覚表現をどのように設計するのかも重要な課題となってくると思います。コストと効果のトレードオフ的な面もありますけど。
この辺については某誌用の原稿を泣きながら現在準備中ですので、ご期待くださいませ > 誰
高山さんのおっしゃるとおり、ファセット分類を使うと視覚的な見せ方が重要になりますね。あとは情報の分類だけでなく、ユーザーの目的に合わせたインデックス化(indexation)が必要になってくると思います。
でもこれってシーソラス構築でよく使われている手法では??
この手法をファセット分類(Facet classification)というのですか・・・知りませんでした・・
Posted by: 林 : 2003年12月23日 09:26林さん、こんにちは。
言語学専門の方の登場をお待ちしておりました。
これは皆さんも同じ意見だと思うのですが、属性中心だと焦点がぼけてしまうので、ユーザーコンテクストと属性を中心とした情報設計が必要になると思います。ただ、属性中心の表現を狙う前提であれば、インデックス構築をはじめとする情報設計は表現設計と完全にリンクした作業になると思いますので、結構大変なことになりそうな予感(笑)
さて「ファセット分類」という言葉ですが、どこまで使われているのかは正直私も良くわかっていません。この辺は縁側さんにコメント頂けると嬉しいのですが、ご覧になっていませんか? > 縁側さん
で、シソーラス構築との絡みなのですが、類似語と属性はやはり違うと思うのです。(類似)語という言葉をキーにすると、影響の及ぶ概念がかなり限定されてしまうのに対して、属性をキーにすることで、(同じ属性を持ちさえすれば)かなり広い範囲をカバーできるという違いがあるように思えます。
#専門外なので、外しているようでしたらご指摘頂ければ幸いです。
Posted by: たかやま : 2003年12月24日 01:02シーソラス(類義語辞典)自体ではなくて、構築の仕方が似ているなーと思いました。
インデックス構築:
料理(料理法、材料、地域)
分類
1.さしみ(生もの、魚料理、日本料理)
2.焼き鳥(焼きもの、肉料理、日本料理)
ファセットというのは、料理法とか、材料とか、地域とかのことですよね。言葉を変えれば、ユーザーが料理に対して持っている複数の「観点」ということだと思います。
私の経験から言って、ユーザーの「観点」を見つけることと、それをどうやって見せるか+どのツールを使って実装するのか(ラジオボタン、チェックボックス、スライダーバーなど)がもっとも厄介な仕事ですね。
私の知っている限りでは、ファセット分類を使った手法にHyperTIM(Hypermedia Task-oriented Information Modeling)という方法論があります。
でもこれ私の教官が提案しているやつなんですよね。日本語に訳してみようと思うのですが、誰か読んでくれるのかなあ・・・
Merry Christmas
Posted by: 林 : 2003年12月24日 04:31もちろん分類するのも大変なんですよ・・・
材料を分類するといっても、
→ 肉料理、魚料理、野菜料理
より
→ こってり系、あっさり系
みたいに分類できてしまいますからねえ。
林さん、構築の仕方が〜という点、了解です。
微妙な言葉遣いが食い違ってるだけで考えてることはほぼ同じだと思いますので、問題ないと思いますです。
HyperTIMというものがあるのですか?フル翻訳でなくても結構ですので、さわりだけでも解説して頂ければ嬉しいです。
それから食べ物レシピでは、そのものズバリのサイトが縁側さんのところで紹介されていますよ(混乱を避けるためか、分類体系は若干絞り気味ですけど)。
http://blog.engawa.cc/mt/archives/000054.html
で紹介されている「epicurious」です。
わかりました。(読んでくれる人がいてうれしい・・)
クリスマスパーティーでお酒飲まされているので、酔いがさめたら送らせて頂きます。
Posted by: 林 : 2003年12月24日 23:32年末駆け込み多忙で連絡が遅くなってしまい、申し訳ありません。
資料PDFどうもありがとうございました。あとでゆっくり拝見したいと思います〜。
(怪しい英文subjectだったので、うっかり削除するところだったり)
ところでこの資料、他にご覧になりたい方っていらっしゃいます?
もしいらっしゃるようでしたら、ご連絡をば。
そのときはご相談に乗って頂けますか? > 林さん
喜んで。
私としても、こうしたらもっとよくなるのではとか、いろいろな方の意見を聞かせて頂けると嬉しいです。
私のsubjectは文字化けしてました?
Posted by: 林 : 2003年12月27日 09:23iiaslash.org経由で
William Denton氏の「How to Make a Faceted Classification and Put It On the Web」を発見。Webでのファセット分類を行うための7つのステップらしいです。
http://www.miskatonic.org/library/facet-web-howto.html
和訳がまだ存在しないなら、ぼちぼち訳してみようかと思いますが、ご興味あります?>みなさま。
Posted by: ち : 2004年1月11日 01:54新年早々沈没寸前です。三月中まではこんな感じっぽい…。
「ち」さん、参考情報ありがとうございます。フル翻訳など贅沢いいません。ラフストーリー紹介だけでも結構ですので、ぜひ!!
#コメントに対して自動リンクするように設定していたのですが、
設定されるリンクがどうしてもずれてしまうようでコメント本文の
前後を少し編集させて頂きました > 「ち」さん
高山さん。
本年もよろしくお願いいたします。返信が遅くなりまして、大変申し訳ありません。
「ち」さんの引用の件は、その方の一つ前の(10月くらいだったかな)論文は目を通してたのですが、今回のはまだ知りませんでした。情報ありがとうございます。
内容的には、(1)分類学自体の手法、(2)バックエンドのシステムにどう実装させるか・・と体系化された学術論文ですばらしいと思うのですが、やはりここで高山さんはじめみなさん感じておられるように、(3)フロントエンドでどう見せるか(どう体験させるか)という最後のフェーズに関心があります。つづきはまた。
PS
XFMLの実装モジュール「facetmap」値段高すぎと思うのですが^^;・・
とりあえずさわりだけ訳してみました。
http://www.chimimo.com/mt/archives/000313.html
■縁側さん
ファセットというか多属性をシームレスに表現する方法の研究については、もう縁側さんにお任せです。
やっぱりデザイナーさんの方が、最終的には強いですよね(笑)
■「ち」さん
早速の翻訳ありがとうございます〜。大感謝です。
必見ですので、ぜひ読むことをおすすめします > 皆様
http://www.laplace-lab.org/cms_mt/mt-tb.cgi/9
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