マニュアル制作のスキル活用を考える

2004年5月11日

マニュアル制作で必要とされるスキル・視点をおおまかに分類してみると、次の3通りになりそうな気がします。

  • ワークフロー設計:
    一次情報が生成される部門と情報を編集する部門が分離していることを前提に、コストを意識した効率的な制作体制を構築すること。
    情報の流れのコントロールや情報の品質、制作効率、コスト、納期の管理といった面で、対象となる情報領域や(マニュアルや各種業務文書など)アウトプットの形態に関わらず、共通点が多いのが特徴です。そのため、抱える問題や工程上のボトルネックになりがちな部分など、問題構造が近い場合が多いのです。
  • 情報設計:
    情報伝達を意識した情報構成やメディア選択を行うこと。
    情報の分類や構造化、電子マニュアルの設計も含むので、いわゆる情報アーキテクチャで要求される作業とオーバーラップするのではないかと思います。コンスーマー製品のマニュアルをイチから企画構成するような場合、やってることは情報設計そのものですからね。
    下記の表現設計のとの兼ね合いで言えば、大枠の表現設計と言えなくもないかもしれません。
  • 表現設計:
    わかりやすく表現をコントロールすること。
    この業界では、この領域に命をかけている方が多そうです(笑)

確かにマニュアル制作のスキル流用が直接的に可能であることを対外的に示すには、これが一番手っ取り早いように見えます。ただし、表現設計は適用領域による幅(業界基準や表現の流行など)が大きく、一般的なわかりやすい表現が通用するとは限りません(そもそも求められていなかったり...)。

さて、マニュアル制作のスキルを他領域で展開しようという話になると、たいていは表現設計の話になりがちです。「マニュアル制作で鍛えられた、わかりやすい表現技法を提供します」とかいって。

また、汎用ビジネス表現技法として見た場合でも、(広告に要求されるような)飛び道具的な表現が要求されても、対応できないのが実状でしょう。プレゼンテーション資料のように、実際のわかりやすさよりも見かけのわかりやすさやインパクトが求められる場面(最近の図表化・視覚化の流行とか...)も多いのが現実ですから、マニュアル制作のスキルが活かせるかどうかは、また違うような気がします。

というようなことを考えると、本当の意味でマニュアル制作やテクニカルコミュニケーションで得られた知見・経験を活用できるのは、ワークフロー設計や情報設計の領域だと思うのです。文書が絡む業務システムの分析とか、様々なメディアやツールで提供する情報の枠組みの再検討、業務文書のフォーマット規定などといった課題は、マニュアル制作で養った感覚を活かすにふさわしく、専門家としてのスキルを大いに発揮できるものでしょう。

一番の問題は、お客様が「なんで取説屋さんがここに?」と疑問に思ってしまうことでしょうか(苦笑)もちろん上記のようにご説明すると、納得して頂けるのですけど。その意味でも、マニュアル制作やテクニカルコミュニケーションで得られる適切なメリットについて、世間に対して呼びかけ続けることが大切になってくるのではないかと思います。

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