Web 2.0でも取り残される?サポート情報

2006年11月29日

Web 2.0では「ユーザー体験の品質向上」ということが良く言われるんですが、サポート情報は蚊帳の外という感があります。

まず、Webの世界におけるマニュアルやヘルプそのものの質が上がっていないと感じます。コンテクストを意識したAJAXによるユーザビリティ改善という発想があるなら、ヘルプに関してもコンテクストを踏まえて欲しいものです。商用アプリケーションでは(画面単位レベルが多いですが)コンテクストを意識したヘルプトピック呼び出しは常識ですが、Webサイトではこの辺イマイチですね。いまだにヘルプのトップページへのリンクのみというのは、ちょっと。商用アプリケーションとWebサイトでは、開発者のコミュニティが分断されているのが原因なんでしょうか。ユーザビリティテストでも、サポートドキュメントに対するチェックはやってなさそうですしね...。

製品情報を扱うWebサイトにおける、サポート情報の扱いも酷いものです。個別の製品情報を表示しているページで、サポート情報へのリンクがグローバルナビゲーションにのみ存在する(つまりサポート情報のトップページへのリンクしか存在しない)というのはどういうことでしょうか。個別製品のページを閲覧しているのであれば、当該製品のサポート情報をそのまま閲覧できる経路を用意するのが当然だと思うんですが...。サポート情報を閲覧してから購入するかどうか判断する商品もあるでしょうし、制作者側がもっとユーザーの心理を考えるべきです。

ここで無理矢理Web 2.0的な方向に話を持っていくならば(笑)、まずは製品ごとのサポート情報URLを固定することが必要でしょう。で、サポート情報は継続的にRSS配信するようにして、購入した機種に関連するサポート情報をユーザーが簡単にいつでもチェックできるようにする、と。ただRSSの購読登録などは一般ユーザーにはまだまだ厳しいでしょうから、その辺の仕組みはうまく隠蔽する必要があります。例えば、製品ごとにユニークなIDを割り当てておいて、WebサイトでそのIDとメールアドレスを入力すれば詳細登録方法の案内メールが届くのでも十分ですし、携帯ユーザー向けには、マニュアルの表紙に登録用URLのQRコードを用意するといった手もアリです。そもそも、更新情報ならメール通知だけでも十分かもしれませんし。

この辺の仕組みや挙動については、できれば家電メーカーで統一するというか共通の枠組みを用意して、Web 2.0的に(笑)利用できるようにすれば良さそうに思えます(これなら海外メーカーから非関税障壁だと文句も言われないでしょうし)。リコールまではいかない不具合通知とか、単に各社がそれぞれWebサイトの「お知らせ」コーナーに掲載するだけの今の方法よりも、よっぽど効果がありそうです。特に白物家電を始めとする各種生活家電など、情報家電以外の長寿命製品には効果的でしょう。(最近の製品トラブル続出に伴う)購入ユーザーへの情報伝達の難しさを見ても、サポート情報の伝達方法を再考する良い機会ではないかと思います。

いままでユーザー登録というと、顧客囲い込みの一環という発想しかなかったように思われます。しかし、新製品のお知らせなど、メーカー側の商魂丸出しの情報を送ってもらうために、ユーザーはユーザー登録をする訳じゃないんです。それよりも、部品保有期限が切れそうな時期に「そろそろ修理用の部品がなくなるので、調子が悪い個所があれば早めに修理依頼を」というお知らせを出してくれるとか、そういう気配りこそユーザーがユーザー登録という仕組みに求めるもののはずです。情報の取捨選択の主導権がユーザー側に移行している以上、ユーザー保護の観点を重視しつつ、あえて囲い込まないアプローチも模索する価値があると考えますが、いかがでしょうか。

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