衆院選2012:後悔しない4年間を過ごすために

2012年12月 3日

というわけで衆議院選挙が明日公示されるわけですが、この3年間の経験を教訓として整理しておきましょうか。

  • 実現可能な移行計画を用意できない制度計画は、画に描いた餅ということ。
    埋蔵金があるから大丈夫とか後期高齢者医療制度廃止とか何だったんでしょうね。
  • 合意形成を疎かにしてはならないこと。
    選挙前から指摘されてきた通り、合意形成努力の放棄、既存法制度だけでなく議論のルール(国会での慣習含む)軽視が顕著に表れたのが、特例公債法案成立が晩秋までずれ込むという前代未聞の事態でした。
  • 法制度や慣習、対応マニュアルを疎かにしてはならないこと。
    原発事故発生時に既存の対応マニュアルを政府が無視し続けた結果、被害拡大の原因・問題分析が困難になってしまいました。また、現時点でも要請といった法的根拠の存在しない形で原発稼動を停止させ、事故当事者以外の電力会社の経営悪化を強いています。
  • デフレ状況下で予算縮小や規制緩和といった方向では、景気回復は難しいこと。
    事業仕分け(懐)円高放置もありましたし、麻生政権の経済政策がすべて実施されていれば...と思わざるを得ない経済状況が続いています。

個人的には「だから言わんこっちゃない」(前回衆院選前のエントリ)としか言いようのない3年間だったわけですが、3年間をどう総括するか、この3年間の原因は一体何だったのか(どうして誤った選択をしてしまったのか)が問われているわけです。

今回の選挙での争点もいろいろ挙げられていますが、先に挙げた教訓が一番色濃く出るのがいわゆる「脱原発」でしょうか。もちろん脱原発が早期に実現できるに越したことはないのでしょうが、

  • 政治的に可能なのか
    (社会的な合意形成は得られるのか→電力不足による節電強制に耐えられるか)
  • 経済的に可能なのか
    (燃料費負担増とそれに伴う電気料金値上げに耐えられるのか)
  • 技術的に可能なのか
    (法制度として可能なのか、科学技術的に可能なのか、移行期間の対策は十分なのか)

といった面を十分に検討した上で脱原発を主張している勢力は、皆無と言わざるを得ません。

自然エネルギーではベース電力を代替できないどころかバックアップとして火力発電所を常時スタンバイさせておく必要がありますし、火力発電依存への回帰は先の大戦の開戦原因やオイルショック、ロシア・ウクライナガス紛争というこれまでの事象を無視しています(化石燃料依存の発展途上国に負担増を強いている側面も見逃せません)。発送電分離はエネルギー供給問題自体を解決するものではありませんし(送電インフラのコストは誰が負担するのかも曖昧)、代替エネルギー開発に国家リソースを投入することは結構ですが早期の実用化にこぎ着けられるかどうかは別の問題です。下手をすると現状の原発を騙し騙し使い続けて老朽化したところに、再度の大規模自然災害という最悪な状況にもなりかねません。

現時点での旧型原子炉の停止・廃炉はやむを得ないとしても、一定の安全対策を満たしたものは再稼働し、さらに安全性と効率を向上させた最新型へ徐々に置換・集約していく。その一方で代替エネルギー開発を進め、代替の目処が立った時点で脱原発の具体的スケジュールが検討議題として上がる...というのが現実的な脱原発アプローチの一例でしょう(もちろん別のアプローチもありえるでしょう)。

まあこの問題は1つの例であって、結局のところどのような争点であれ、シングルイシューとして連呼する政策を実現するための「パッケージ」を用意できているか、根拠や移行計画は妥当か、議員の資質は十分か、がポイントになるわけです(少なくともこのような発言は論外と言わざるを得ません)。個人的には今回の選挙も前回同様に自民党しか選択肢がない(現実的に選択の余地がない)のが残念ですが、皆様も自分なりに後悔のない選択をされますよう。我が国の余力もかなり厳しくなってきていますので、「一回やらせてみよう」「ダメなら替えればいい」「お灸」といった安易な選択はナシでお願いしますね。

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